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からだの健康、お口から

厚生労働省

iihaコラム

怖い!むし歯と歯周病 気付かぬうちに菌の侵入口に
~お口の健康は自己管理が大切~

東京歯科大学・名誉教授
姫路歯科衛生専門学校・校長
井上 孝

私たちの体は皮膚で守られています。歯も同じようにエナメル質で表面が守られています。しかし、歯にむし歯菌が付着すると菌が出す酸がエナメル質を溶かし始めます。やがて穴が開き、象牙質まで達すると神経が刺激され痛みを感じます。
また、歯と歯ぐき間に歯周病菌が取り付くと、ピタリとくっついていた歯と歯ぐきを引きはがしていきます。菌はその隙間にも入り込んでいき、歯ぐきの組織に炎症を起こし、ついには歯ぐきを破壊し、毛細血管から体内に入ります。血流に乗った菌は全身を巡り、様々な臓器に到達。そこに留まり、臓器を破壊する他の菌の活動を助けることも。

こうしたむし歯の穴や菌で炎症を起こした箇所は、体の表面にできた「傷」。細菌が易々と体内に入り込める侵入口なのです。口の中の「傷」が怖いのは、知らないうちに出来て進行していくこと。そして口の中には常にたくさんの菌がいること。自覚症状が出るころには、症状が進んでいたり、菌が体内に侵入してしまっていたりするのです。

小中高校では定期歯科健診が行われ、むし歯になる人はかなり減っています。しかし、その後、口の中の健康を自己管理しなければいけない年代になると、歯科健診の受診率はガクンと下がり、むし歯の人が増えていきます。むし歯で歯を削ってしまったら、一生元には戻りません。「痛みが出たら歯医者で治せばいい」と考えると後悔するかもしれません。毎日の歯みがきはもちろん、定期的に健診を受けて口の中を健康に保つことが大切です。

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